金城哲夫の出身高校
金城哲夫 演出家
- 金城哲夫卒業高校
- 玉川学園高等部 偏差値 東京都高校偏差値ランキング
- 演出家ランキング
- 30位 / 61人中 演出家別偏差値ランキング
- 性別
- 男性
- 生年月日
- 1938年7月5日生まれ
金城 哲夫(きんじょう てつお、1938年7月5日 - 1976年2月26日)は、日本の脚本家。沖縄県島尻郡南風原町出身。第一期ウルトラシリーズを企画し、脚本面から支えた作家として知られる。なお「金城」姓は本来「カナグシク」「カナグスク」と発音し、沖縄県ではきわめて一般的な名字(苗字)のひとつである。
那覇高校の受験に失敗、上京して玉川学園高等部、玉川大学文学部教育学科卒業。玉川時代に、恩師である上原輝男の影響を受け、脚本に興味を持ち始める。一度帰郷し映画『吉屋チルー物語』を製作。上原より教え子の一人だった円谷皐を介して円谷英二を紹介され、東宝特撮映画で健筆を振るっていた関沢新一から脚本家としての指導を受ける。関沢の薫陶による「ポジティブな娯楽(エンターテインメント)志向」は以後の金城の作風の根幹をなした。
1963年に円谷プロダクションへ入社、企画文芸部の主任として『ウルトラQ』『ウルトラマン』『快獣ブースカ』『ウルトラセブン』など、黎明期の円谷プロが製作した特撮テレビ映画の企画立案と脚本を手掛ける。『Q』『マン』の相次ぐ高視聴率により怪獣ブームを巻き起こし順風満帆かと思われたが、大人向けの特撮を目指した1968年製作の『マイティジャック』は、平均視聴率が8.3%と低迷したために1クールで打ち切りとなってしまう。挽回を図った『怪奇大作戦』は、平均視聴率22%と健闘したものの、スポンサーが「ウルトラに比べて低い」という判断を下したために、予定の2クールで終了。番組の受注が途絶えた円谷プロは、経営状態の悪化に伴い大幅なリストラを敢行し始める。その煽りで文芸部も廃されて以前のような発言力を失った金城は、今後はシナリオライターではなくプロデューサーへ専念するよう迫られたことで1969年に円谷プロを退社する。沖縄県に帰郷しラジオパーソナリティーや沖縄芝居の脚本・演出、沖縄海洋博の構成・演出などで活躍した。
1976年2月23日、泥酔した状態で自宅(後述の「松風苑」の敷地内。現在資料館)2階の仕事場へ直接入ろうとして足を滑らせ転落。直ちに病院に搬送されたが、3日後の2月26日に脳挫傷のため死去。37歳没。
自身の脚本執筆だけでなく、他のシナリオライターへの発注や改訂作業を行ない、監督のローテーションを組むなど「脚本監修」「シリーズ構成」の役割を担い、『Q』・『マン』・『セブン』の高い完成度に貢献した、初期円谷プロ最大の功労者の一人。オーソドックスながら骨太で力強いドラマ作りを行ない、殊に映像化を念頭に置いた躍動感溢れるト書きについては高野宏一や中野稔といった特撮スタッフの多くが「非常に刺激になった」、「映像化への意欲を大いにそそられた」と口を揃えて証言している。また円谷プロ時代の同僚ライターであった上原正三は「金城が物語の本流を決めてくれていたからこそ、自分や実相寺昭雄が安心して変化球を投げることができた」と述懐している。
高野は金城が円谷プロを去った際のいきさつに関して、その数年後に起こる金城の事故死のこともあり、「金ちゃんには本当に申し訳ないことをしてしまった。もっとぼくなんかが体を張って止めるべきだった」と涙ながらに語った。
ウルトラシリーズにはお馴染みの人物であり、『ウルトラセブン』に登場のキングジョーの元ネタとなった。『ウルトラマンマックス』第22話『胡蝶の夢』では、造形家の女が彼を称える台詞を語っている。
ウルトラシリーズには、上述のキングジョー以外にも、チブル星人(沖縄方言で「頭」を意味する)やジラース(沖縄方言で「次郎叔父さん」を意味する)など、沖縄県を想起させるキャラクターが登場する。このため、金城の創作は、神ともされるまれびとが背景になっている、と指摘されることもある。
『ウルトラマン』の伝説怪獣ウーの雪んこに扱われている差別と迫害は沖縄出身の金城の沖縄と本土人との関係が指摘されているほか、侵略を受けた被征服民の悲哀をモチーフとした「ノンマルトの使者」などの作品から、アメリカ統治下時代の沖縄県で育った作者のアイデンティティーと考察する評論やスタッフからの評価も見られる。しかし一方で上原正三は沖縄戦の体験がない上原に比べ、実際に体験した金城は母親が足を切断するなどの苦難に見舞われていたのにもかかわらず、戦争について語ることはなかったと述べ、「傷が深ければ深いほどそんなに簡単に出すわけがない」とも語っている。また満田かずほも「彼から沖縄や米軍の問題などは聞いたことがない」と語っており、上原をはじめとした円谷プロ時代の金城を知るスタッフの幾人かからは円谷プロ時代の金城に関する沖縄出身云々といった考察については否定的な見解が示されている。
テレビドラマでの最後の脚本作品となった『帰ってきたウルトラマン』第11話「毒ガス怪獣出現」に登場したモグネズンが吐くイエローガスは、旧日本軍の「黄一号ガス(イペリット)」「黄二号ガス(ルイサイト)」であり、ストーリー展開は出身地である沖縄の米軍による「レッドハット作戦(米軍による毒ガス兵器の移送作戦)」と、いずれも戦争と沖縄の問題からヒントを得ている。漫画家・小林よしのりは自身の漫画『沖縄論』の中で、「本エピソードは、明らかに他の『帰マン』の話に比べて浮いていた。金城氏の怒りが伝わってくるようだった」と述べている[要ページ番号]。
自身の出身地である沖縄とその時点で住んでいた土地(東京)の二つの地を生きることをメフィラス星人の「お前は地球人なのか、それとも人間なのか」にハヤタが答えた「両方さ」に表すなど自身の経験をシリーズにも生かしている。
沖縄県に帰郷後の金城は地元のラジオ番組で、沖縄における米軍基地の負担を減らすために自衛隊による自主防衛の選択肢について触れ、それにより地元住人の不評を買い、また自ら演出立案に携わった沖縄海洋博でも、当時疲弊していた沖縄県経済の建て直しを図ったが、却って開催前よりも経済は悪化の一途を辿ってしまう。そのことが元来オプティミストだった彼をペシミストへと変え、のちの事故につながる精神的な要因になったとも言われている。
「怪奇大作戦 パーフェクトコレクション」の封入のブックレットに記載されたものから。金城が円谷プロダクションから退社する前、最後に書き残した企画書が「超人X(仮)」であった。非円谷プロ作品である『巨人の星』と円谷プロ作品である『ウルトラセブン』と『怪奇大作戦』の3作品をミックスした、より高度な線を狙ったものだったが没になった。
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